オープンソースシステム科ブログ

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2008年11月28日

カテゴリー: 学習・授業関連  |  教員関連

Linuxの教科書がオープンソース??

「Linux標準教科書誕生」

今1年生が「Linux操作」という科目で使っている教科書は、
「Linux標準教科書」というもので、これがなんとオープンソースなのです。

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教科書がオープンソースって言うのもなんだかよくわからないのですが、
正確に言うと「クリエイティブ・コモンズ・ライセンス」というライセンスの元に
自由に利用できるようになっている書籍なのです。
この教科書の成り立ちはここに詳しく載っています。
(きっかけになった「Linux/OSS教育フォーラム2007」は、
 日本電子9号館メディアセンターで開催されました)
とにかく開発のプロセスがオープンで、
オープンソースソフトウェアと同じような方法で出来上がってきたのです。

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「Linux標準教科書」と日本電子オープンソースシステム科とは
何かとご縁がありまして、この教科書の行方は他人事ではありません。

まずなんと言ってもLPI-Japanさんの著作である、ということ。
この欄でも過去に「日本電子オープンソースシステム科はLPI-Japanさんの
スタッフの味方です!」などと先生が叫んでおりますし、
立派なものが出来上がってみんなで喜んでいます。

それから教科書の開発がオープンですから、アルファ版ともいえるような
状態の原稿を実際に神藤先生が授業で使用して、修正や要望などを
フィードバックしてます。

さらにさらにメイン執筆者は、たまたま皆さん日本電子で教えていらっしゃる方ばかり。
特に宮原さんが中心となってオープンな教科書ができあがってきたのです。
宮原さんはまたひとつオープンソースの業界で大きな足跡を残したのです。


今回はその執筆者のお一人である川井先生に、ちょっとお話を聞いてみましょう。
川井先生には2年生の「オープンソースカスタマイジング」科目などで
教えていただいています。
川井先生のお答えから、教科書作成の舞台裏がいろいろと見えてきますよ。


Q.今回の教科書開発プロジェクトに加わった経緯は?

A.びぎねっとの宮原さんから声をかけて頂きました。
  宮原さんとのご縁は、2005年くらいにオープンソースカンファレンス会場
  (日本電子)で整理スタッフとしてお手伝いしたのがきっかけです。
  そして今回のプロジェクトで、私も以前から執筆経験があり講師もしていたので、
  声をかけて頂きました。

Q.共同執筆にあたり、執筆者同士でどんなルールがありましたか?

A.目次案を決めてから、各自1章分の文章を書き、
  方向性を固めるためのレビューをしています。
  レビューをして決めた方向性に沿って担当の章を書き始めました。
  一通り、書き上げた後に確認のレビューをおこない、
  必要に応じて修正と追加を繰り返しています。

  内容は、多くのLinuxの教科書よりも実践に近いテキストが欲しいという
  要望(方向性)から始まっています。
  基本的な決まりとして考えたのは、対象者や文章構造(章や節や項や問題など)と
  文体(ですます調)です。
  対象者はLinuxに触れるのが初めての人で、
  カタカナ用語やカタカナ名称の語尾などは
  多くの出版社で使われている一般的なルールを使いつつ、
  途中のレビューで調整しています。
  レイアウト前の文章データはプレーンなテキストで、
  秀丸などのテキストエディタを使い書き、
  OpenOfficeのライターでデザインしてもいました
  (OpenOfficeで作られた教科書は日本初(もしかしたら世界初)のはずです)。
  図などのデータは手書きに近いもの(ペイントや紙)を描き、
  パワーポイントやエクセルやイラストレータなどの
  それぞれ適したツールで清書してもらいました。
  図は最終的にライターに埋め込み、直接埋め込めない形式は
  画像に変換しています。

  一般の書籍と同じく文章の執筆と図の元案を提供し、
  レイアウトはデザイナーさんにお願いしています。
  完成を確認・修正という流れになりました
  (一部分、OpenOfficeのでデータを修正しています)。

Q.執筆で苦労したことは?(内容、スケジュールなどについて)

A.スケジュールは書籍と同じ流れなので特別な苦労は無かったです。
  以前から、個人で使うテキスト用に書き溜めていた文章や
  市販の書籍をこう変更したいという考えもあったので、
  かなり楽しみながら進められました。
  ただ、Linuxの知識は相互に絡んでいるので、
  順番に進めるために試行錯誤する箇所もいくつかあります。

Q.今までにない開発方法についての感想は?

A.ベータ版くらいの完成後に多くの先生方にチェックをして頂くのは、
  今までに無い手順なので、正直ちょっと怖くもありました。
  しかし、多くの意見を頂けたのは今までに無く、感謝すべきことだと思います。

Q.出来上がった時の感想は?

A.フィックスした後にPDF版を公開したので、
  公開当初は完成したと言う感覚がいまいちでしたが、
  見本用に印刷製本したテキストを見たときに完成した実感がわきました。
  完成と同時に、これからテキストを使える状態なので、
  やっとスタートに立った気もしています。

Q.反響が大きかったようですが、良い面と悪い面は?

A.足りない部分の意見や、わかりやすくするための代案を意見されるのは
  やはり、気にはなります。
  しかし、2chの様な無責任で個人を攻撃する発言ではなく、
  テキストを良くするための前向きな意見なので、
  想像した程はきつく無くてありがたい提案です。

Q.この教科書に対する思い入れ、今後に期待することは?

A.自分でも使いつつ、他の先生の意見をいただければ、
  更に磨きをかけて行きたいと思います。

Q.今回のプロジェクトで得たことはありましたか?

A.とかく個人の地味な作業になりがちな執筆活動がオープンになったことです。

Q.授業で使っている日本電子の学生にひとこと

A.軽く読んで理解できないところは、理解できなくてもよいので
  とにかく読み進めてください。
  章単位で読み進めたら、PCでコマンドを入力して操作を体感してください。
  手を動かしながら13章を読み進める頃には、
  Linuxを操作するための基礎が身に付くはずです。
  操作に慣れれば、教科書に載っている以上のコマンドやサービスを
  試す余裕が生まれ、Linuxの勉強が楽しくなりますよ。

先生、ありがとうございました。教科書を作る過程では
さまざまな側面があるのですね。
そういえば川井先生は他にも多くの著作物がおありで、
この業界でかなりメジャーな本も書かれていらっしゃいますね。
アマゾンで検索してみてびっくりしました。
そうとは知らず何冊か買ってました(笑)。


ところでこのLinxu標準教科書はPDFファイルとして誰でもダウンロードできます
(製本が必要な場合は実費がかかります)。
実は1年生はそのダウンロードしたファイルをプリントアウトして、
自分で穴あけをして紙ファイルにとじて授業に持参しているのです。

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こんな方法で教科書を入手するのはもちろん初めてです!
なんかとても新鮮です。
この方式は反響が大きかったようで、
公開後3日間で10,000ダウンロード(!)を記録したそうです。
250ページ近くになるのに、みんなダウンロードした後
頑張ってプリントアウトしたんでしょうか。


Linux標準教科書はまだまだこれからバージョンアップされますし、
そのプロセスも全てオープンになっています。
授業を受けた私達がそのバージョンアップに少しでも貢献できたらいいなあ、
と思っています。頑張ります!

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もしみなさんの中でもこれからLinuxを勉強しようと思っている方がいらっしゃったら、
是非ダウンロードしてみてください。
あ、忘れずに、Linuxの勉強をするなら日本電子専門学校オープンソースシステム科
おすすめですよ(笑)!!

(日本電子専門学校ではオープンソースシステム科以外にも、コンピュータネットワーク科
 ネットワークセキュリティ科情報セキュリティ科でLinux学習に力を入れています。)