お気に入りのゲームを遊んでいると、よくエンディングに出てくる「ゲームディレクター」という存在。
ゲームを作っているすごそうな人だということはなんとなくわかるものの、どのような仕事をしているのか、いまいちピンと来ない方もいらっしゃるのではないでしょうか。
本記事では、「ゲームディレクター」というお仕事が気になるあなたに、ゲームディレクターになるにはどうすればよいか、実際にどういうお仕事をするのかについてまとめました。
ゲームディレクターとは、ざっくり言うと開発現場のまとめ役です。
ゲームの企画チームと開発チームを統括し、よいゲームをつくることに責任を持つ立場になります。
現場によっては「企画のディレクター」「開発のディレクター」など、それぞれの部門ごとに配置されることもあります。
ゲームの品質の良し悪しは、ゲームディレクターにかかっているとも言えます。
ゲームプロデューサーとの違いは、ゲームの宣伝など、開発の外部まで責任を持つかどうかです。
また、ゲームプランナーとの違いは、具体的な企画を立てる実務を行うかどうかになります。
ゲームディレクターはあくまで開発現場の統括であり、実際の開発部分はゲームプランナーやプログラマーなどの専門職が担います。
では、ゲームディレクターの具体的な仕事はどのようなものになるのでしょうか。
ゲームに関わらず、ディレクターという仕事は大きく以下の4種類にわかれます。
ゲームを制作・開発する場合、おもに「企画立案」「制作準備」「制作」「集計・分析・改善」といった4つのステップに分かれます。
ゲーム業界の実態を踏まえ、それぞれ解説します。
開発するゲームタイトルの最終予算の責任を持つのはゲームプロデューサーであるケースが多いですが、ゲームの開発部分において、予算を考えながらチームを動かすことは、ゲームディレクターが担当するケースもあります。
たとえば、100万円の予算で100人の開発者を動かすと、一般的には赤字です。
また、100万円の予算で1人の開発者が1年中開発していても赤字になります。
こういった事態が起きないよう、各所の要望を聞きながら、予算を考えながら、うまく調整をするのがディレクターの仕事の1つです。
ゲームの開発チームは、企画側にはシナリオライターやゲームプランナーなど。開発側にはCGクリエイター、サウンドクリエイター、プログラマーなど、さまざまな職種から構成されます。
誰をどの役割に割り当てるか。自社内で割り当てられる人員がいない場合は誰に外注(依頼)するかなど、開発のために最適なチームを作ることもディレクターの仕事の1つです。
ゲーム開発は凝れば凝るほど面白いものができる一方、世の中にリリースしないと利益にならないため、開発のデッドラインも決まっています。
そのデッドラインに間に合うように開発を完了させるため、スケジュールを立ててスケジュール通りに進行させるのもディレクターの仕事の1つです。
もしスケジュール通りに開発が進まず、開発に問題が起きている場合は、各所と調整して問題解決のサポートをしてあげる必要があります。
ゲーム開発がスケジュール通りに進んでいても、クオリティが低いことでリリースした後で評価が下がることは避けなければいけません。
そのため、プレイヤーが満足できるような品質にコントロールすることもディレクターの仕事の1つです。
たとえば、企画内容が開発にきちんと落ちているか。コンセプトと表現のずれがないか。プレイしにくいところがあってユーザーをイライラさせないかなど。
すみずみまで確認し、納得のいく仕上がりになるように調整します。
ゲームディレクターになるには、「ディレクター職」として仕事に就くか、「開発職」として現場経験を積んだ後、配置転換でディレクターになるかの2つがあります。
以下では、いずれかの方法で仕事に就くためのルートを3つお伝えします。
最も王道なのは、専門学校や大学などの教育機関に入学することです。
これまではゲームクリエイターになることに特化した専門学校で技術を磨くことが主流でしたが、近年は大学でじっくり学んだ後、ゲームクリエイターとして就職するケースも増えてきました。
専門学校のメリットは、2~3年で集中的にゲームクリエイターに直結する専門技術を身につけることができ、人脈や外部イベントに出展する機会なども得られることです。
一方、大学のメリットは、一般的な学問を含む広いカリキュラムから4年間じっくり腰を据えて学ぶことができ、ゲームクリエイター以外の選択肢も検討できることです。
後に紹介する2つの方法と比べると、入学金などの学費がかかることはデメリットとなります。
教育機関に入学しなくても、未経験からインターン・正社員を募集している企業もあります。
その場合は業務を進めながら必要なことを学ぶことができ、業務の先にゲームディレクターのキャリアを見据えることができます。
ただ、まったくの未経験者を募集している企業は少ないですし、働く先が合わなかった場合にほぼ何も身につけられず終わってしまうリスクもあります。
現在、プログラミング教材やノウハウを教えるブログなどがインターネット上に増えてきており、昔と比べて独学する環境が整ってきました。
そのため、独学して実際にゲームを自分で作ってしまう方も珍しくない時代になってきています。
スムーズに学習から開発まで進められればよいのですが、一方で独学することで変な癖がついてしまったり、体系的に学ぶより時間がかかってしまい、挫折するリスクもあります。
時間に相当な余裕がある場合は、独学で実績を作ってみるのも1つの手段だと言えるでしょう。
次に、ゲームディレクターになるために必要な資格や適性についてお伝えします。
ゲームディレクターに必要な資格はありません。無資格でも就職・活躍している方はたくさんいます。
ただし、ゲームディレクターとしての力に通じる資格はあります。取ったからと言って必ずしもゲームディレクターになれるわけではありませんが、資格を取るための努力や知識が評価される可能性はあります。
たとえば、「プロジェクトマネジメントアソシエイト資格」では、ゲーム開発で必須となるチームマネジメントの知識を身につけることができます。
プロジェクトマネジメントはゲームディレクターのみならず、さまざまな職種で「チームを動かす」力に直結するので、将来役に立つ可能性が高いでしょう。
また、統括する立場と言えども、開発の実態を知っていることは大事です。
開発に関わる最低限の知識が必要とされることから、プログラミングに関わる資格も視野に入れるとよいでしょう。
ゲームディレクターは、開発部門全体を見通し、異なる職種のスタッフを1つの目標に向かって導く必要があります。
「自分の職務だけ全うしていればよい」という考えだと、チームがばらばらになってしまうでしょう。
そのため、さまざまな個性や利害関係のあるチームを調整するためのコミュニケーションスキルや交渉スキルはもちろん、リーダーシップが何より重要であると言えます。
「専門学校」「大学」それぞれの特徴について解説します。ゲームディレクターの年収は、20代で300〜400万程度と言われています。
しかし、ヒット作を生み出すなど、活躍をすればするほど年収は上がりやすく、中には年収1,000万を超えるゲームディレクターもいます。
高年収のゲームディレクターになるには、「面白いゲームを作る」という目的に沿ったチーム作り、チームマネジメント、そして何よりビジネス的に成功するという結果を出すことが求められます。
本来のディレクターの役割としてはゲーム開発を無事に完遂させるだけで十分なのですが、その先の「成果を出す」という、ゲームプロデューサーの視点を持つことが、年収アップにつながると言えるでしょう。
2013年に1兆円ほどだったゲーム市場は2022年に2兆円を超えており、まだまだゲームの市場は拡大していくことが予想されます。
そんな中、例えば日本電子専門学校のゲーム制作科の卒業生は「任天堂」「スクウェアエニックス」「カプコン」「セガ」「コナミデジタルエンターテインメント」など、大手のゲーム会社に就職しています。
その他、大手ゲーム会社から発注を受けてゲーム制作の開発部分を担当する制作会社、スマホゲームに特化した会社などの選択肢もあります。
今後は3DCGなどバーチャルリアリティ空間でのゲームも増えていくと予想されており、新しい技術を扱うゲーム会社も増えていくでしょう。
本記事では、ゲームディレクターになるにはどのような方法があるか、どのようなことを考えなければいけないかについてまとめました。
ゲームディレクターとして成功したいとお考えの場合、一定の開発経験を積み、開発現場の楽しさや厳しさがわかることが大事だと考えています。
開発現場のことがわからないと、クオリティ基準や技術的な実装可能性などの判断が難しくなるためです。
そのためには、早い段階から開発の経験や、実際のチームでの動き方を知っておくことが大切です。
日本電子専門学校は、ゲームやCGなどの領域において、日本で初めて専門学科を設置した、歴史のある専門学校です。
個人ではなかなか手が出せないハイスペックマシンを用いての開発経験や、28年連続での東京ゲームショウへの出展など、ゲームディレクターになるための環境が整っており、何より同じ業界を目指す仲間とのつながりができます。
ゲーム業界に身を置いて活躍したいと考えているのであれば、ぜひ資料をダウンロードしてみてください。