映画やゲームに出てくるキャラの表情や風景のリアルさを見て、「どうやって作っているのだろう」と気になったことはありませんか。
映像作品で、本物さながらのリアルさを表現をし、人に感動を与えるのが、CGクリエイターです。
本記事では、CGクリエイターの5つの職種、必要とされるスキル、学び方について解説します。
CGクリエイターとは、専用ソフトやツールを使って、コンピューターグラフィックス(CG)を制作する職業です。
CGとは、コンピューターを用いて画像を生成する技術、もしくは生成された画像のことを指します。
CGは、主に映画、アニメ、CM、ゲームといった映像コンテンツの制作現場で活用されているので、馴染みがあるのではないでしょうか。
また、近年は建築や医療といった分野でも、実験やシミュレーション向けのCGが注目されています。
CGクリエイターは、CG需要の高まりから、今後も必要とされる職業の1つといえます。
CG制作は作業量が非常に多く、CGクリエイターは制作を工程ごとに分けて行います。
CGクリエイターの職種は、担当する制作工程によって、以下の5つに分類されます。
それぞれ解説します。
モデラーは、CGモデルの制作を担当します。
モデラーの仕事は、制作の初期段階で、映像作品やゲームに登場するキャラクターやアイテムを、デザイン画をもとに、CGソフトで立体化することです。
モデラーは、キャラクターや背景など、作品のキーとなるものを1から制作できるため、CGクリエイターの中でも、誰もが憧れる花形的存在です。
ただし、モデラーが制作したCGモデルが、すべての制作過程の基盤になるため、確かな技術力が必要です。
また、作品の世界観を壊さず、1つ1つのデザインを細部まで作りこむ想像力や正確性も求められます。
アニメーターは、モデラーが作成したCGモデルを動かすための設定を行います。
CGモデルに、シーンに合った表情や動作をつけることで「命」を吹き込み、キャラクターを確立させていきます。
作品によって、キャラクターの表情や動きを、本物の人間と見間違えるほどリアルに表現したり、アニメならではのコミカルで超人的な動きを表現したりと、求められる表現方法は異なります。
もちろん、動作をつけるのはキャラクターだけではありません。
たとえば爆発によりビルが倒れるアニメーションや、迫力満点のカーチェイスのアニメーションを担当することもあります。
そのため、アニメーターには、豊かな発想力と柔軟性が求められます。
テクスチャーアーティストは、モデラーが作ったCGモデルに色や質感を加えてリアリティを出していきます。
モデラーが制作したCGモデルは、そのままだと粘土のような無機質な物体で、色はグレーベース、質感はのっぺりとした状態です。
テクスチャーアーティストは、CGモデルをよりリアルに見せるために、写真や絵などの画像素材をモデルに貼り付けることで、色や質感を表現します。
たとえば、RPGによく出てくる宝箱。
CGモデルに、木目調や、赤や青の少し錆びた金属の画像素材を配置します。その上から、南京錠や金属板の画像素材を配置することで、宝箱らしい見た目に仕上げていきます。
作業の中で、納得のいく画像素材がない場合は、テクスチャーアーティストが1から画像を作ることもあります。
テクスチャーアーティストには、物体をリアルに作り込むための空間把握能力や、高い観察力が求められます。
エフェクターは、映像の中に出てくる爆発・炎・水・光などの現象をCGを用いて作成し、作品にダイナミックさを加えます。
映像業界におけるエフェクトとは、「視覚効果」「作品を盛り上げる演出」のことを指します。
ストーリー展開に合わせて、エフェクターがリアルで派手な演出を加えることで、見ている人はインパクトを感じ、より作品の世界にのめり込みます。
また、最近は3Dゲームが主流になってきた影響もあり、特殊効果でシーンを演出することも増えています。
特殊効果というのは、たとえば、ゲーム中にキャラクターが繰り出す特殊な技や魔法などです。
エフェクターには、作品やゲームの世界観や要求を的確に理解し、それを正確に表現するセンスが求められます。
コンポジターは、CG制作の仕上げを担当しており、映像作品には欠かせないポジションです。
コンポジターは、モデラー・アニメーター・テクスチャーアーティスト・エフェクターが制作したものを、組み合わせ合成(コンポジット)し、解像度や色、コントラストなどを調整し、全体を整えます。
たとえば、映像に不要な映り込みがあった場合、IllustratorやPhotoshopを使って映像を加工する「パレ消し」と呼ばれる作業を行います。
すべての確認や調整終了後、最終工程として「レンダリング」と呼ばれる、完成に向けた映像の出力作業も担当します。
コンポジターは、制作における最後のプロセスを担当するため、責任感やプレッシャーが大きいです。
しかし、それと同時に「1つの作品を完成させて世に出す」という大きなやりがいも感じられます。
以上、CGクリエイターの職種を、制作工程ごとに説明しました。
CGコンテンツの制作には、何人ものCGクリエイターが関わっており、チーム一丸となって1つの作品を作り上げます。
次に、CGクリエイターを目指す上で必要とされるスキルについて、解説します。
CGクリエイターは、資格よりも、本人のセンスや経験が評価される職業です。
CGクリエイターになるにあたって、絶対に必要な資格はとくにありません。
ただし、CGクリエイターとしてスムーズに仕事をするために、習得しておくべきスキルはあります。
以下の4つです。
それぞれ説明します。
CGデザイナーには、デッサンスキルが欠かせません。
魅力的なCGを作成するためには、キャラクターや風景の構造などを理解して、正確に表現することが必要です。
たとえば、「キャラクターが喜ぶシーンで、顔は笑顔だけど棒立ちのまま」とか「太陽が右側にあるのに、建物の影も右側にある」といったことは、普通では考えられませんよね。
たとえCGであっても、そういったシーンを見ると、「なんとなく気持ち悪い」と見る側に違和感を与え、その後のストーリー展開に集中できない原因になります。
デッサンスキルは、キャラクターの動きや表情の設定や配置、光や影の向きを正しく表現するという点で、必ず役立ちます。
見る人を惹きつける完成度の高いCGを作るためにも、常に人やものをよく観察する癖をつけ、デッサンスキルを磨きましょう。
CGクリエイターには、制作ソフトの操作スキルも必要です。
映像作品を作る上で、必要な制作ソフトには、「Maya」や「3ds max」などのCGソフト、「Illustrator」や「Photoshop」などのAdobeソフトがあげられます。
制作ソフトは定期的に新しい機能が追加されることも多く、常に勉強してスキルを磨かなければいけません。
IllustratorやPhotoshopはダウンロードすれば誰でも使えますし、CGソフトに関しても本や動画で学ぶことができます。
お試し感覚で、各ソフトの基本操作を確認しておくとよいでしょう。
CGクリエイターを目指すなら、英会話スキルの習得もおすすめです。
MAYAや3dsMAXといったCG制作ソフトは海外製であるため、ソフトの発行元の操作案内やFAQは、ほぼ英語で書かれています。
ソフトの操作方法を確認したり、発行元に問い合わせなどを行うために、英語を使うことも珍しくありません。
また、今後はグローバルな仕事が増えていくことが予想され、海外スタッフと連携する機会もあるでしょう。
もちろん、通訳や翻訳担当のスタッフを手配すれば、CGクリエイター自身に英会話スキルがなくても問題はありません。
しかし、直接英語でやりとりができるCGクリエイターがいれば、打ち合わせや連絡もスムーズに進められ、「自分の思いが相手に正しく伝わっていない」といったトラブルを最小限にできるというメリットがあります。
CGクリエイターとして、グローバルに活躍するためにも、英会話スキルは持っておいて損はありません。
CGクリエイターにはコミュニケーションスキルも重要です。
CGクリエイターのような制作の仕事は、一見、PCと向き合い、1人で黙々と作業を進めているようですが、実際はチームで役割分担をして行います。
そのため、別工程を担当するCGクリエイターとのやりとりはもちろん、立場によってはクライアントやプロデューサーといった、さまざまな職種の人とコミュニケーションをとる必要があります。
円滑に作業を進め、チームとしての士気を高めるためにも、コミュニケーションスキルを磨いておきましょう。
クリエイターとしての経験がない学生がCGクリエイターになるには、何らかの方法で専門知識を学んだり、実際に手を動かしたりして、CGを作る経験が必要です。
では、どのようにしたらCGクリエイターになれるのでしょうか。
CGクリエイターになるための方法は、以下の3つです。
CGクリエイターを独学で目指すことも可能です。
CG制作に関する動画や書籍は多くあるため、学習費用を最低限に抑えつつ、空き時間や移動時間などに、自分のペースで自由に学習できることも独学のメリットです。
独学でCGクリエイターになるためには、とにかく手を動かして制作しましょう。
ポートフォリオの作成に力を入れて、企業に実力をアピールすることが大切です。
また、会社によっては、少数ですが、未経験のCGクリエイターを見習い扱いで採用しているところもあります。
採用されれば、現場で働くプロの仕事を近くで見ながら、CG制作の経験を積むことができるというメリットもあります。
独学の場合は、とにかく熱意をもって制作を続けること、諦めずに何度でも挑戦する粘り強さが重要です。
CGクリエイターになるには、大学に通う方法もあります。
現役のCGクリエイターには、美大卒の人もいれば、芸術学部卒の人もいます。
また、理工系の学部出身者も少なくありません。
大学に通う場合は、卒業までに4年という月日がかかりますが、CGデザインに必要な知識や技術を基礎からしっかりと学べます。
大学では、専門学校とは違い、CGデザインの知識や技術以外にも、幅広い教養を身につけられるのもメリットです。
歴史や文学も学びたければ、他学部の授業もとれますし、「将来的に後進の育成もしてみたい」という場合には教職課程を選択できるのも、大学ならではの魅力です。
「幅広い知識や技術を学び、将来の選択肢を増やしたい」という場合は、大学を検討しましょう。
CGクリエイターになるための1番の近道は、専門学校に通うことです。
専門学校は、その名の通り「専門的な技術を身につけるための学校」であり、CGクリエイターになるための技術の習得に特化したカリキュラムと、教育のノウハウがあります。
卒業までの期間も、2年や3年が多く、大学と比べると短期間で凝縮した学びが得られ、学費が安く済むのも特徴です。
また、専門学校の講師陣は、現役のCGクリエイターであることも多いです。
プロの目線で指導やアドバイスがもらえる上、専門機材が揃えられた環境で、実践的な学びができるのは大きなメリットです。
「必要な知識を効率よく学び、早くCGクリエイターとして働きたい」という場合は、専門学校を選びましょう。
本記事ではCGクリエイターの仕事内容や必要なスキル、技術を学ぶ方法についてまとめました。
CGクリエイターは実力重視の職業と言われていますが、実際には「専門学校卒業以上」と学歴を指定して求人を出している企業も多いのが現状です。
専門学校は、効率的にカリキュラムを学び、即戦力となる技術を身につけることができ、就職にも有利です。
日本電子専門学校は、1951年に創立され、1980年代からいち早くデジタル技術者やクリエイター教育をはじめた、歴史ある専門学校です。
学年ごとにツール操作の基礎、最先端のデジタル映像表現の方法、映像業界の第一線で活躍するためのスキルまで、深く、実践的な学びができます。
CG分野の卒業生は「シン・エヴァンゲリオン劇場版」「美女と野獣(実写版)」「キングダム」といった著名作品の参加実績もあります。
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