ゲームをしていて、キャラクターの動きと効果音が見事にシンクロした臨場感溢れるシーンに、目を奪われたことはありませんか。
キャラクターの動きと効果音を組み合わせ、タイミングよく発生させるためのシステム設定を行うのが、ゲームプログラマーです。
本記事では、ゲームプログラマーの5つの仕事、必要なスキル、学び方について解説します。
ゲームプログラマーとは、ゲームがうまく動くようにプログラミングして実装する仕事です。
「プログラミング」とは、ゲームプログラマーが「プログラミング言語」を打ち込んで、コンピューターに処理内容の指示を出すことです。
システムの基本設計はもちろん、キャラクターの動き、効果音の設定といった、ゲームのあらゆるプログラミングを担当します。
もしゲームプログラマーがいなければ、「キャラクターは動かず、冒険が始まらない」こととなり、もはやゲームとして成立しなくなるため、ゲーム制作の基盤を担う、重要な仕事といえます。
このように聞くと、責任重大な仕事に思えますが、その分やりがいもあります。
たとえば「こだわって作ったプログラムが連動し、期待を超える演出ができた」ときには、大きな達成感を得られます。
では、ゲームプログラマーは、実際にどのような仕事をしているのでしょうか。
ゲームプログラマーは、黙々とプログラミングだけしているイメージがあるかもしれませんが、実は他にも大切な仕事があります。
大きく以下の5つに分けられます。
それぞれ解説します。
ゲームプログラマーは、ゲームの全体像を掴むため、ゲームディレクターやゲームプランナーとの打ち合わせが必須です。
打ち合わせでは、ゲームの構想や設定を把握し、段取りやスケジュールを考えます。
見通しをたてたら、必要になりそうな機材や資料、アシスタントの数などの段取りを行います。
しかし、企画によっては、プログラムの仕様や納期面で、無理のある要望が含まれていることもあります。
たとえば、「1週間かかる作業が、3日で終わる見通しになっている」といったものです。
もし、そういった点を指摘せずに制作に入ると、チーム全体に迷惑をかけたり、納期まで連日徹夜が続いて体調を崩すリスクなどがあります。
スムーズにプログラミングを進めるためにも、打ち合わせ内容は細かく確認し、ときには「できない」とはっきりと伝えることも大切です。
ゲームの開発環境の準備も重要な仕事です。
開発環境の準備とは「ソフトウェア」「ゲームエンジン」の、2つを準備することです。
ソフトウェアは、ゲームプログラマーが設定したプログラムを格納し、必要に応じて出し入れする、プログラムのクローゼットのようなものです。
ゲームエンジンは、デザインや音声の管理ツールなど、ゲーム開発に必要な要素が揃ったプログラミングをサポートするプログラムのことです。
「Unity(ユニティ)」や「Unreal Engine(アンリアルエンジン)」が業界標準ですが、メーカーにより、オリジナルのゲームエンジンも使用することもあります。
また、ソフトウェアやゲームエンジンは、種類によって、プログラミング言語や動作環境も異なります。
そのため、「このゲームに適切な開発環境は何か」を見極めることが大切です。
開発環境の準備が整ったら、ついにプログラミング作業です。
プログラミング作業は、ゲームプランナーが作成した仕様書に沿って、効果音の設定やシステム構築、メニュー画面の実装など、機能ごとに分担して進めるのが一般的です。
担当内容が決まったら、あとはとにかく手を動かして、ゲームとして成立するボリュームとクオリティになるまで、集中してプログラムを組んでいきます。
ただ、時間をかけて、じっくりプログラミングをすればよいというわけではありません。
仕事には納期があり、納期に間に合わせることが原則です。
そのため、作業が滞ってしまったり、スランプに陥ってしまったりしたときには、早めにチームメンバーに助けやアドバイスを求め、自分だけで抱え込まないようにしましょう。
プログラミングが完了したら、デバッグをします。
デバッグとは、ゲームを実際にプレイして、プログラムのミスである「バグ」がないか確認する作業です。
もし、バグが残ったままの状態で、ゲームが市場に出回ってしまうと、ユーザーの満足度低下につながります。
そのため、デバッグは、ゲームプログラマーだけでなく、ゲームプランナーやゲームディレクターも同席して、時間をかけて、徹底的に実施します。
※デバッガーと呼ばれるデバッグ専門部隊が担うこともあります。
バグが見つかると、ゲームプログラマーは、該当箇所のプログラムを組み直し、改めてプレイして、バグが修正されているかを確認します。
デバッグを繰り返し、修正箇所がなくなれば「ゲーム完成」となり、仕事も一旦落ち着きます。
ゲームのリリース後には、機能改善の仕事があります。
ゲームがリリースされると、ユーザーから「こんな機能も追加してほしい」「このコンテンツはおもしろくない」といった反響が上がってきます。
そんなユーザーからの反響を元に、プログラムをより使いやすいシステムに改良したり、楽しめるコンテンツを追加したりして、ゲーム内容をアップデートします。
機能改善は、ユーザーの満足度や評価に直結します。
そのため、「こうすればユーザーがもっと喜ぶはず」「この機能を追加すれば、長くゲームを楽しめるはず」と、プレイヤーの視点に立って改善案を出すことも大切です。
このように、ゲームプログラマーは、ゲームの設定にまつわるすべてのプログラミングをリリース後まで責任をもって担当します。
ゲームプログラマーとして活躍できるかどうかは、学歴ではなく、本人のスキルで決まるといってもよいでしょう。
必要なスキルは、大きく分けて3つあります。
ゲームプログラマーに、プログラミングスキルは必須です。
プログラミングスキルとは、プログラミング言語を使いこなすスキルのことです。
ゲームで主に使われるプログラミング言語は、「C++(シープラプラ)」や「C#(シーシャープ)」「JavaScript(ジャバスクリプト)」などが挙げられます。
プログラミング言語さえ使いこなせれば、自分の思い通りに、キャラクターの動作や配置設定、サウンドの選択、システムの構成ができます。
ゲームプログラマーを目指すなら、プログラミング言語の習得は最優先で行いましょう。
ゲームプログラマーには、コミュニケーション能力も重要です。
ゲーム制作には、ゲームプログラマーだけでなく、ゲームプランナーやゲームプロデューサー、デザイナーなど、さまざまな人が関わっています。
なかでもゲームプログラマーは、ゲーム制作の基盤を担っているという立場から、ゲームプランナーに進捗報告をしたり、デザイナーと設定内容について話し合ったりする機会が多いです。
もし十分なコミュニケーションが取れないと、認識違いによる思わぬトラブルが起き、ゲームの進捗に影響を及ぼすリスクがあります。
スムーズにゲーム制作を進めるためにも、最低限のコミュニケーション能力は身につけておくことがおすすめです。
ゲームプログラマーには、論理的思考力、つまり「物事の筋道を立てて考えること」も必要です。
ゲームプログラマーは常にプログラム同士のつながりを考えることが求められます。
論理的思考力が高いと「何をどうすると、どんな結果になるのか」を頭の中で自然と組み上げながら作業し、正確なプログラムを組むことができます。
逆に、何も考えず、乱雑にプログラミングをしてしまうと、プログラム同士の整合性がとれず、「スタートボタンを押してもゲームが始まらない」とか「キャラAに話しかけているのに、画面にキャラBが出てくる」などのバグになります。
これではゲームが崩壊してしまい、完成には程遠くなります。
とはいえ、論理的思考力はすぐに鍛えられるものではありません。
最初はゆっくりでよいので、物事を順序立てて考え、慎重に作業する習慣を身につけるところからはじめましょう。
ゲームプログラマーになるには、何らかの方法で自分でプログラムを書けるようになったり、専門知識を学んだりすることが必要です。
では、どのようにしたらゲームプログラマーになれるのでしょうか。
大きく以下の3つにわけられます。
ゲームプログラマーを、独学で目指すことも可能です。
最近は個人の趣味としてゲーム制作をする人も増えており、ゲームプログラミングを学ぶための専門書や動画は豊富にあります。
そのため、自分のペースで根気よく学ぶ意欲があれば、独学で十分に知識を得られます。
ただ、独学の場合は、どうしてもプログラミングの実技経験が少なくなりがちです。
慣れるまではとにかく自分の手を動かして、プログラムを打ち込み、感覚を身体に覚えさせ、上達を目指しましょう。
また、プログラミングに慣れてきたら、簡単なものでよいので、自分でゲーム制作をしてみましょう。
ゲーム会社によっては、ゲームプログラマーの採用試験において、オリジナルゲームの提出を求めるところもあります。
活躍するチャンスを逃さないためにも、自分をアピールする武器として、オリジナルゲームはストックしておくことをおすすめします。
ゲームプログラマーになるには、大学に通う方法もあります。
進路としては、情報学部や、理工学部が近い学部として該当します。
大学では、4年かけて、ゲームプログラマーに必要なプログラミングスキルや実技指導はもちろん、ネットワークの基本や情報セキュリティなど、幅広い知識をじっくり学べることがメリットです。
また、文章表現や英会話など、自分に足りない知識の講義も自由にとることができ、社会人としての教養が深められるのも魅力です。
「将来の選択肢を増やしながら、幅広い知識を学び、社会人としての基礎固めをしたい」という場合は、大学へ通いましょう。
ゲームプログラマーになりたい気持ちが強いなら、専門学校が近道です。
専門学校は、その名の通り「専門的な技術を身につけるための学校」であり、まさに「ゲームプログラマーになること」に特化したカリキュラムを提供しています。
卒業までの期間も、2年や3年が多く、大学と比べると短期間で凝縮した学びが得られ、学費が安く済むのも特徴です。
また、専門学校の講師陣は、ゲーム開発の実務経験者や現役ゲームプログラマーであることも多いです。
そういったプロの講師から、日々指導やアドバイスがもらえる上、現場で使われる「生きた知識」が吸収できる点も、専門学校の大きなメリットです。
「必要な知識を効率よく学び、即戦力として活躍したい」という場合は、専門学校に通いましょう。
本記事では、ゲームプログラマーの仕事や必要なスキル、学び方についてまとめました。
最近では、ゲームに対する認識が、「子どもが遊ぶもの」から、「大人も熱中できるもの」に変わってきたことから、ゲームの設定をより細かく作り込む必要が出てきました。
そのため、1つのゲーム制作に関わるゲームプログラマーの数も増えており、ゲーム会社は、即戦力となる有能な人材を常に探している状況です。
その点、専門学校は学生とプロが接する機会を豊富に設け、制作現場さながらの実習にも力を入れています。
実習では、仕様書の見方、論理的思考の基礎、効率的なプログラミングの進め方といった、現場で活かせるスキルをしっかりと身につけられるため、就職にも有利です。
日本電子専門学校は、1951年に創立され、1980年代からいち早くデジタル技術者やクリエイター教育をはじめた、歴史ある専門学校です。
「ゲーム制作科」では、11冊ものオリジナル教科書と、多彩な開発環境を完備したコンピューター実習室を使って、RPG、アクション、パズル、シューティングなど、さまざまな種類のゲームを1年で10作品以上制作することができます。
また、「学科の枠を超えて学生同士が協力し、ゲーム開発をする」経験をすることで、専門知識や経験を身につける以外に、チームで連携することの大切さも知ることができます。
ゲーム制作科の卒業生は「鉄拳」「大乱闘スマッシュブラザーズ」シリーズなどの人気作品の制作に携わっています。
ゲームプログラマーになりたいと考えているのであれば、ぜひ資料をダウンロードしてみてください。