- アニメを学ぶとは?
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このページを見ている人のほとんどは、恐らくアニメにかなりの思い入れがあるのではないでしょうか。YouTubeなどの動画サイトを愛用してアニメを見ている人も多いと思います。近年は映像技術も進歩しており、クオリティの高いアニメが次々に制作されています。アニメ事業は「クールジャパン戦略」の中にも位置づけられており、アニメへの関心は世界的にも高まりつつあります(「日本のアニメをきっかけに日本語を学んだ」という外国人の方も少なくないようです)。
では、アニメは一体どのように作られているのでしょうか。「どのような技術が使われており、どのような工程が組み合わされることで一つのアニメ作品が完成しているのか」と言われると、あまりピンとこない人が多いのではないでしょうか。実習を通じてこうした技術や過程を具体的に学んでいくのがアニメの学科です。最前線のアニメの事情について幅広く学習することで、美大とはまた一味違う学びを得ることができるでしょう。
- アニメについて学ぶ意味とは?
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アニメの制作は分業体制によって行われています。したがって、高いデザイン技術を持っていること自体は確かに重要ですが、他の作業工程の方と協力して制作に取り組むチームワークも重要となるのです。
そのためには、「上手な絵コンテが書ける」など個々の技術にこだわるだけではなく、アニメの制作過程について幅広く知っておくことが重要になります。それは、グループでアニメを制作する一連の過程を経験することで初めて身につくものでもあります。アニメについて専門学校で学ぶことの意味は、習得したアニメ制作の基本的な技術を活用して制作の一連の流れを体感することにあると言っても過言ではありません。
- アニメについて具体的には何を学ぶの?
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アニメに関する学習事項は、「デッサン系」「作画系」「デジタルツール系」「その他教養」に大別されます。デッサンについては、デッサン(特に人物デッサン)の基礎や画面構成や空間表現の効果的な描画手法を学んだ後実際に作品制作に活用するトレーニングを行います。作画については、アニメーション制作における動画描写の基本技術を習得します。デジタルツールについては、画像制作ツールの扱い方を学習します。その他、実際の作品を鑑賞して作り手の側から分析したり、リアルな動作を表現するための力学について学んだりします。最後にはチームでアニメ制作に取り組み、アニメ制作の一連の過程を実際に体験します。さらに、アニメ業界と連携した会社見学やインターンシップなども行われます。
- 絵を描くのが上手でなくても大丈夫?
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上記の学習事項を見て、「面白そう」と思った人もいれば「イメージと違って結構難しそう」と感じた人もいるでしょう。中には、「自分は美術があまり得意じゃないから無理かな…」と思った人もいるかもしれません。ですが、アニメ業界の第一線で活躍している現役アニメーターやアニメーター経験者が直接指導してくれるので、こうしたスキルは入学後に段階を追って身に付けていくことができます。アニメについて幅広く学んでスキルを習得しようとする貪欲な姿勢が何よりも重要です。デッサンや造形・色彩などのデザイン能力に加えてCGスキルやコミュニケーション能力などを総合的に身に付けることで、就職の際に強みをアピールすることができます。
- アニメを学ぶとどんな資格が取得できるの?
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アニメを学ぶことで取得できる資格としては、マルチメディア検定や色彩検定などデザイン系の民間資格があります。また、Webデザインを学んでいる人はWebデザイナー検定やウェブデザイン技能検定、グラフィックデザインを学んでいる人はDTP検定などの民間資格を取得することが可能です。
ただしデザイン系の民間資格は多岐に渡るため、それぞれの資格の重要性や社会的信頼性を見極める必要があります。また、アニメの場合は学校で習得したスキルが資格取得に直結しないこともあるので、資格取得にこだわらず学校での実習やアニメ制作に集中して取り組むことが重要になるかもしれません。
- アニメの学びを活かした仕事って?
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アニメの学びを活かした仕事というと、アニメ会社への就職が最初に思い浮かぶでしょう。卒業後は何らかの形でアニメ制作に携わる人が多いです。先述の通りアニメ制作は分業であるため、実際に絵を描くアニメーターだけでなく設定制作(アニメに登場するキャラクターの衣装等の設定をデザイナーに発注する)など様々な形でアニメ制作に関わることができます。もっとも、アニメーターは全体として不足気味のため、画力やスキルがある人は積極的に採用される傾向が強いと言えます。
なお、制作会社やスタジオに所属せず基本的に自宅などで仕事をするフリーランスのアニメーターもかなり多いようです。
- アニメ業界に向いている人とは?
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アニメーターの仕事は想像力を働かせなければならない部分もありますが、単純作業の繰り返しという面もあります。特に動画を担当しているうちはひたすら同じような絵を何枚も描き続ける毎日が続き、人によっては飽きてしまうかもしれません。
それでもアニメーションが好きで、自分の描く絵がどんな風になるのだろうと考えられれば、仕事は楽しくて仕方ないはずです。「好きこそ物の上手なれ」という言葉もあるように、好きであることが上達にも繋がります。作品が放映された時のやりがいは何にも代えがたいものがあるでしょう。
また、アニメーションは多くの人の力を結集して作られます。絵を描く作業は机に向き合って一人でやるにしても、他のスタッフのことを考え協力しようとする姿勢は確実に必要です。そのため、「〆切を必ず守る」「いい加減な仕事をしない」など責任感を持った働き方が求められます。また、独りよがりにならず周りの人のアドバイスを素直に受け入れることも時には大事です。絵に自信があっても、客観的に見ると出来が良くない可能性もあります。
さらに、アニメーターの仕事がしたいと強く思える人こそがこの仕事に向いているといえるでしょう。後述するようにアニメ業界の仕事は大変なため、アニメーターを目指す人の中には当初「頑張ろう!」と思っていても挫折してしまう人が多いようです。しかし、そこで諦めず努力を続ければ収入も増加していきます。その段階に進むためには覚悟と情熱が必要です。
- アニメ業界の働き方の実情とは?
もしかすると「アニメ業界は業務が大変」という話も聞いたことがあるかもしれません。では、実際はどうなのでしょうか。
仕事をしていくうえで収入や給料は切っても切り離せない問題です。そういう意味で、アニメーターという職業はすぐに稼げる仕事ではないといえます。
仕事の単価については、動画はテレビ作品の場合1枚150〜250円程度、原画は1枚2000〜2500円程度が一般的です。1枚あたりの出来高制であるため、仕事をこなすほど収入は増えます。日本アニメーター・演出協会(JAniCA)が実施したアニメーターの年収に関する調査では、20代で平均1,104,000円、30代で平均2,139,000円となっています。